地域活動

政務調査レポート

社台スタリオンステーション・ノーザンファーム、室蘭市、苫小牧市、札幌市(平成26年8月19日火曜日~21日木曜日)

視 察 日

平成26年8月19日(火)~21日(木)

視察場所

1)社台スタリオンステーション・ノーザンファーム
2)室蘭市 室蘭工業大学
3)苫小牧市 苫小牧市教育委員会
4)札幌市

視察項目

1)特別区競馬組合事業について
2)行政と室蘭工業大学との包括連携協定について
3)不登校問題対策実践事業
「すくらむ苫小牧 トータルサポートプラン」
「苫小牧市学力向上アクションプラン」について
4)国道36号札幌駅前大通地区における道路空間を活用した賑わいの創出

意  見

1)社台スタリオンステーション・ノーザンファーム―特別区競馬組合事業について

23区特別区は特別区競馬組合事業を行っており、北区も株主配当金を利益として一般会計に計上し、財源の一つとなっている。(平成25年度配当金と分担金の合計は1970万円強)限られた資源の中で安定的な財源確保を図るためにも、競馬事業の普及は重要であると考え、馬産地を視察。
社台スタリオンステーション・ノーザンファームでは大井競馬など地方競馬をはじめ、中央競馬で活躍する馬を排出するまでの種馬の買い付けから種付け、また生育時期にあった訓練や管理が徹底して行われ、生まれてから競走馬として育つまでの様々な工夫や苦労、また競走馬から種馬になってからの経過などを視察し、競馬に対する考え方が大きく変わった。

賭け事の競馬としてだけでない、競馬事業の魅力を感じ、そのような観点からの競馬事業の普及を今後検討していきたい。

 

2)室蘭市 室蘭工業大学―行政と室蘭工業大学との包括連携協定について

室蘭工業大学は室蘭市、登別市、伊達市とそれぞれの連携を通して相互の発展及び地域社会の発展に資することを目的に、まちづくり、産業振興、福祉・医療、教育・文化の振興、人材育成や学術の振興等の諸分野において、それぞれ個別に連携・協力するため「包括連携協定」を平成18年に締結。

締結以前より、室蘭市が行う審議会の委員として、大学教授などが参加し、行政に関わってきた経緯があり、更にその連携を図るために上記項目について、具体的な活動が始まった。またその背景として、もともと室蘭市の主な産業が工業、造船業であり、室蘭工業大学の研究内容が共有できる環境があった。近年、市内企業、工場の撤退などで産業の衰退、人口減少など進行が顕著になる中で市の直面する課題について、大学側がその解決に向け、「包括連携協定」をもとに新たな産業の創出や、産業振興を強化している。
産業振興では学生による空き店舗活用で市民協働拠点「テクノアグリー」を主宰。
まちづくりでは市内の公園作りに学生も関わりデザインを提案するなど教授だけではなく学生も含めて連携が図られている。
現在の大学の取り組みとして重点的に行われているものは
・シップリサイクル…造船のまつ室蘭での廃船処理について研究を活かした活動
・環境都市づくり…PCB処理施設を市が誘致
・都市大学との連携による水素利活用研究

 大学での研究、取り組みが市の産業や取り組みを連携し、共に発展し合える仕組み作りは大変、参考になった。北区も近隣大学との防災協定などは締結しているが、総合的なものはない。

 今後、区内移転予定の東洋大学との連携に今回の「包括連携協定」が活用できるか、区の大きな課題である高齢化への取り組み、産業振興など今後更に研究していきたい。

 

 

3)苫小牧市 苫小牧市教育委員会―不登校問題対策実践事業

・「すくらむ苫小牧 トータルサポートプラン」…トータルとは生徒のみではなく家庭・世帯・家族を意味する。
教育員会は毎年、不登校調査を行う中で、この10年間で不登校の要因が児童生徒の心理的なものから、家庭環境によるものに変化してきていることに着目し、その対応の検討に入った。
体制は教育部指導室に不登校問題担当指導主事を配置し、不登校調査と関係機関と連携した相談会の開催、不登校問題支援チームを医師、大学教授、指導主事、関係機関で組織し、それぞれのケースについて定期的に協議の場を設け、支援や対応について協議が始まる。また新たにスクールソーシャルワーカーの配置がされ、その支援や対応についての充実やそれぞれの立場の方が連携、つなぎ役として、活用がされている。(別紙参考資料参照)
連携の中で特に教育と福祉の連携した支援が重要であるが、それぞれもとになる法律が異なるため、その連携が壁となる。
また連携していく中で、第一段階として生徒や家族と接触できる学校の立場や対応が大切であり、生徒や家族にまず共感的体制で向かい、関係機関に繋げられるよう、教育研修などでもその周知に努めている。
苫小牧市教育員会の大きな目的は学校に登校できるようになるということに拘らず、対応がなされない不登校児が出ないよう、今ある不登校児300名(全体の2%)に対し、チームとして支援体制をつくること。そして、登校が叶わなくても、将来の社会復帰、またそのきっかけになることが目標としている。この点は大変感銘を受けた。
北区としても不登校の現状について、数値だけではなく内容についても十分な把握と分析が不可欠であるとともに、関係機関の密な連携が図れる体制作りが課題であると感じた。

・「苫小牧市学力向上アクションプラン」について…基礎学力調査での結果を受け、市の大きな課題として取り組みが開始される。
大きく3点を取り組み課題に掲げ対策がなされている。

  1. 授業改善の徹底した取組の推進→「苫小牧っ子学力up!ハンドブック」の作成とその徹底した活用。全校共通の指導用ハンドブックを作成し、授業改善推進教師(LIT)の配置などで教師の指導力の向上やスキルアップを図る。
  2. 小・中学校間の学習指導の連携→「インプループ6の推進」…基礎学力の定着が不十分な生徒に対して個別支援に向けた調査を行って、個別の課題を把握し対応する。調査は小学4年、6年、中学2年に行い、つまずきを確認。その内容を小・中学校で情報共有し、その対策に向かう。
  3. 学校教育と家庭教育の連携・協力の推進→「一貫した指導を目指した協働体制の確立」…PTAによる家庭教育力の向上を目指し、「家庭学習の手引き」作成や研修会などを開催、協働している。
  4. ~③までそれぞれの役割の充実を図りながら連携し、向上するための取り組みになっている。特に②の市独自の基礎学力確認テストは大変工夫されており、つまずきを把握し、効率的な指導ができる点で参考になった。
    また家庭教育の推進について積極的な姿勢は重要で北区としても取り組める点があるのではないかと考えた。

 

4)札幌市―国道36号札幌駅前大通地区における道路空間を活用した賑わいの創出

  1. 札幌市の都心まちづくりで目指すもの…・都市機能の集積、高度化 ・都市空間、エネルギー等のネットワーク形成 ・エリアマネジメントの展開の3つを柱とし、都心の構造強化による「多様性」と「回遊性」の向上をさせる。

札幌駅周辺の街づくりが駅の再開発などで構造や環境が変化する中で、歴史的背景による地域特性に応じ地域を4つに区切りそれぞれの地区でエリアごとのマネジメント推進が図られる事になった。
その一つの地域である大通地区について視察。この地区はこれまで中心地区であったが駅前再開発や地下通路開発などにより、人の流れが変わり、商店街の衰退など危機感を市と地域と共に感じていた。しかし、その対策について、市はハード面の整備はできるものの、ソフト面で地域や商店街の方々の関わりがなければ進まないと、市の根気強い働きかけにより、商店街や地域は3年かけて勉強会や研修をし、その運営をするための「まちづくり会社」(事業収益は株主に配当せず、まちづくりに還元する会社、札幌市は3%を出資している)を設立。地域活性化の趣旨に賛同を得ながら、・広告事業・都心共通駐車券事業・歩行者天国管理活用・オープンカフェや木製ベンチの設置管理・駐輪対策・美化などを業務とし全国初の「都市再生整備推進法人」に指定され、官民協働の更なる推進が図られている。
今回オープンカフェや木製ベンチを視察したが、市の考える地下通路から地上に回遊する仕組みとしては良いと思った。

また「まちづくり会社」のように、民間・地域の積極的な地域活性化への意識が大変重要であると感じた。北区のまちづくり、とりわけ今後進められていく、王子駅前再開発や十条駅周辺再開発に活かせるよう、更に研究したいと思う。

 

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