地域活動

政務調査レポート

山口県宇部市、広島県呉市(平成24年10月22日月曜日~23日火曜日)

視 察 日

平成24年10月22日~23日

視察場所

1)山口県宇部市
2)広島県呉市

視察項目

1)再生可能エネルギー導入促進事業について
2)ジェネリック医薬品使用促進通知サービスについて

意  見

1)山口県宇部市―再生可能エネルギー導入促進事業について

・宇部市の省エネ・地球温暖化対策の取り組み・・・環境基本計画で宇部市の望ましい環境像を「豊かな自然と住みよい環境をはぐくみ、持続可能な社会をめざすまち」とし、地球環境・生活環境・自然環境・快適環境・環境教育環境ビジネスの5つの視点から民生部門・運輸部門・産業部門・環境教育それぞれの計画、取組みがなされている。主な取組みは、公共施設、個人住宅等への再生可能エネルギー設備の設置・普及、CO2排出量の削減、市営バス・自転車の乗車利用促進、事業者との環境保全協定の締結、エコアクション21の取得支援、宇部志立市民大学環境学部の運営、環境学習施設のネットワーク化など。
・再生可能エネルギー導入促進事業の内容と効果見込み、課題について・・・宇部市では再生可能エネルギーの普及として、公共施設への導入を進め、平成15年度より10施設で設置されている。平成24年度からは更に推進すべく、市民共同発電事業の仕組みづくりと設備の設置を目的として、緊急雇用創出事業臨時特例基金補助事業を活用して、提案公募型の「再生可能エネルギー導入促進事業」を予算額500万円で立ち上げた。仕組みとしては運営会社が企業や市民から広く出資を募り、公共施設へ体高校発電など再生可能エネルギー設備を設置し、売電。その売電収入を出資者に配当していく。事業者の公募は2度目で委託先が決定し、9月に契約締結したばからりとあって、詳細な仕組みについてはこれからであるとのこと。ファンドの収支計画は10年間で、出力700kw、建設費約2億2千万円、設備稼働率は13%、売電収入は約3,300万円/年、CO2削減量は約580t-CO2、目標年間分配利回り1%となっているが、第二種金融商品取扱業の登録、少額出資・寄付の取り扱い、市民からの出資割合、目標利回りの課題があり、市有地の貸付についても貸地料の減免、貸地料の発生時期や期間について課題が山積している。こういった課題をクリアにして、公共性の確保と市民への還元をはかる必要がある。

また、事業としての課題は再生可能エネルギー設備設置とそれが雇用につながる施策にするには産学官民との連携についてしくみ作りの工夫が今後必要。更には、市としてあるいは北区に置き換えた場合も含め、エネルギー政策についての目標の構築をどのようにしていくのか、また国の補助制度をどのように効率的に取り入れ、財源確保していくのかなど、課題が明らかになり参考になった。

 

2)広島県呉市―ジェネリック医薬品使用促進通知サービスについて

・呉市の国民健康保険事業の概要と現況・・・人口約24万人、高齢化率30%、国保被保険者数人口の約23%の55,000人うち65歳以上は約46%であり、市民一人当たりの医療費の推移は全国平均40万円に対して約60万円と高く医療費抑制の必要性が挙げられていた。そこで市の長期総合計画の中で重点プロジェクトとして、「市民の健康づくりの推進」~健康寿命の延伸と国民健康保険の健全運営が掲げられ、生活習慣病予防を柱とした保健事業の推進が計画された。国保の歳入増と歳出減を図るため、市税の徴収機能も合わせている、債券徴収対策室が設置され、保険料の収納率上昇に努められ、滞納繰越も含めた収納率は85%と県内でも1位から3位に位置する。歳出減については医療費に適正化を訴え、「健康管理増進システム」が構築され、レセプトデータベースを基にし、3つの取り組み①ジェネリック使用促進で勧奨通知による市民の医療費負担の軽減②保健事業の推進で広島大学と協働した糖尿病性腎症等重症化予防、生活習慣病2次3次予防、医療費分析・調査研究に市民の健康維持③レセプトの縦覧点検で効率化し、医療費の節減を徹底的に行っている。
・ジェネリック医薬品使用促進通知サービスの内容、実績と効果について・・・後発医薬品の使用促進通知を平成20年7月から全国で初めて開始。切替による効果の高いと思われる対象者約3,000人に毎月通知を行い、平成23年度は経費(郵便料)200万円に対し、医療費の削減効果額は1億2400万円であった。平成24年度3月までで通知数24069人で年間薬剤費削減額は3億7100万円で経費として委託料が2500万円となっている。通知の内容はジェネリック医薬品の安全性と医師・薬剤師への相談を促すよう、また医師会や薬剤師会、歯科医師会と連携をし、サポートデスクを設置し、相談や問い合わせを受け付けている。裏面には大きく、切り替えた際の削減できる金額について記載され、わかりやすい。
また、国民健康被保険者証の更新時期にあわせてジェネリック医薬品希望カードを同封し、啓発に努めている。

効果など資料でみると簡単な表現だが、実際に担当課長にお話しを伺うと、これに至るまでの医師会や薬剤師会、歯科医師会への説明、協議、連携のプロセスについてのご苦労と努力、工夫が感じられた。やはり、初めは医師の処方権の侵害と言われなかなか理解を得ることが難しかった。その中で、説明会を重ね、市民公開シンポジウムなどを開き、市民からも理解を得られるよう工夫を重ねた。現在は医師会や薬剤師会、歯科医師会との連携で通知内容の検討や各種疾患の重症化予防への働きかけなど様々な取組みがされている事を北区に置き換えた場合、事業の基礎となるレセプトデータベースの整備や医師会、薬剤師会との連携などに課題が残ると感じた。

 

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