地域活動

政務調査レポート

山梨県都留市(平成22年10月28日金曜日)

委員会名

区民生活委員会

視 察 日

平成22年10月28日金曜日

視察場所

山梨県都留市

視察項目

自然エネルギー、小水力発電「アクアバレーつる」について

意  見

1・事業経緯について

化石燃料の大量消費により引き起こされる地球規模の環境問題に対応するため、平成11年に「都留市環境保全行動計画」、「都留市地球温暖化対策実行計画」を策定、また平成15年には都留市における新エネルギー導入の促進及び意識啓発をはかるため「都留市地域新エネルギービジョン」を策定。この中の一つに「公共施設での先導的活用プロジェクト」を掲げ、市が積極的に新エネルギーを導入していくことを目指した。導入を検討、推進する新エネルギーは・太陽光発電システム、クリーンエネルギー自動車、マイクロ水力発電システム、小型風力発電システム、廃熱利用システム、廃棄物エネルギー、燃料電池など。特にこの中でこの地域資源である「水」に着目、「小型水力発電」についての研究が平成13年から市民・学術機関・行政の協働によって行われ、平成16年都留市制50周年の記念モニュメントとして全国で初となる「小水力市民発電所・元気くん1号」が誕生。平成19年には小水力発電を交流人口の増加や
地域振興につなげていく事を目指した「アクアバレーつる構想」を取りまとめた。「アクアバレーつる構想」が取りまとめられた。その後、平成22年に「元気くん2号」が完成、本格稼働開始。

 

2・事業の具体的な取組について

市役所庁舎前を流れる家中川に「元気くん1号」は最大20kwの発電能力を有する直径6mの木製下掛け水車。「元気くん2号」は発電能力最大19kw、3m上掛け水車を設置。発電した電気は常時は市役所と「都留市エコハウス」の電力としてまた夜間や土日などの市役所が軽負荷の時は電気事業者による新エネルギーに関する特別措置法により売電を行い、庁舎使用の電気料と地球環境への貢献。また財源は①NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)補助金、②都留市一般財源、③市民参加型ミニ公募債(つるのおんがえし債)とし、市民の意識啓発も図った。平成21年度からは発電した電力に付加する「環境価値」を「グリーン電力証書」として販売、低炭素社会の実現に向けた積極的な取組も行っている。

 

3・実績、効果について

「元気くん1号」「元気くん2号」総発電量(平成22年度4月から10月)98827kWh、売電量は8226kWh、電力自給利率は44.2%。
市役所の電力量を約20%削減。
市民債「つるのおんがえし債」も「元気くん1号」は1700万円募集に対し4.03倍の6820万円の応募、「元気くん2号」は2360万円に対し1.3倍の31900万円の応募があり、市民の方の関心の高さを表している。
小水力発電「元気くん」の活用として「都留市エコハウス」や「植物栽培設備展示施設」、「グリーン証書」の発行など地域振興につながっている。

 

4・今後の課題について

小水力発電「元気くん3号」を建設予定しているが、その後の建設予定はない。「アクアバレーつる」構想の策定以降、小水力発電「元気くん」による地域活性化に関する施策を推進し、ある一定の役割を果たしたとされ、今後はさらに新しい考え方「エコロジカル・バランスタウン」に展開していく。
豊かな「環境」を守り、育て、後世に継承。地域資源として環境と産業、環境と市民のライフスタイルのバランスをとる中で新たな仕組みやつながりの構築、眠れる資源の発掘、活用をさまざまな施策を検討、推進していく。

地域資源として歴史的背景のある「水」を市の「売り」にして施策を構築、また研究段階、市民債の発行など市民との協働がなされている点がとても参考になった。印象的なのは市長の言葉「ないものねだりではなくあるものを活用してまちの活性化を」だった。改めて北区の地域資源を見直し、環境をはじめ、産業などさまざまな施策展開を模索すべきである。

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