地域活動

政務調査レポート

熊本(平成20年7月13日~14日)

1・視察年月日及び視察時間
平成20年7月13日~14日

 

2・視察先

  1. 講演:「子どもと地域を犯罪から守る方法」小宮信夫 立正大学教授
  2. 熊本市立尾ノ上小学校「地域防犯パトロールオバパト隊」
  3. 医療法人聖粒会 慈恵病院「こうのとりのゆりかご」

 

3・視察結果

  1. 「子どもと地域を犯罪から守る方法」小宮信夫 立正大学教授
  2. 頻発する児童殺傷事件、通り魔事件、地域の身近な事件…これらを防ぐには、怪しい人を警戒したり、防犯ブザーをもったり、護身術を身に付ける対応ではなく、犯罪が起こりうる「場所」を予測し、予防することが必要である。…犯人は犯罪を成功させやすい「場所」を選び繰り返し行う。
    →犯罪が起きやすい「場所」の共通点は2つ!

    1. P1020984.JPG入りやすい場所(逃げやすい場所)
    2. 見えにくい場所
    3. →このような「場所」を認識し、改善していく!

    4. 学校、地域住民でまちを歩き、危険な「場所」の確認をしてみる
    5. ・・・「地域安全マップ」の作成

    6. 認識した「危険な場所」の改善。例えば、ごみや落書きを掃除したり、

    塀を柵にし、見えやすくするなど、地域の関心があることを表していく。

「犯罪」は犯人目線に立ち、予測できれば防げる!
※北区でも学校ごとに防犯「地域安全マップ」を作成しているが、犯罪が起こりやすい「場所」の共通点2つを基準にした視点での作成が必要であり、また、学校や生徒だけでなく地域も一緒になって認識していく、関わって改善していくことが大切であると感じた。

 

2.熊本市立尾ノ上小学校「地域防犯パトロールオバパト隊」
学校区居住の‘自称:オバタリアン‘からなる防犯パトロールのボランティア団体。
隊員数:女性129名(オバパト隊)、男性81名(オバパト大学)
活動内容:パトロール活動
・通学路を10m毎に隊員が並び、また交差点には4~5名横断旗をもって登下校の見守り。
・青色灯パトロール車での巡回
・地域パトロール、挨拶運動 ・地域安全マップの作成
・安全、防犯に係る活動
・警察より講師を月に1度招き勉強会と情報交換  などなど・・・
活動効果:いじめゼロ、不登校ゼロ、給食費未払いゼロ、また公園での酒、たばこ、シンナーの回し飲みがなくなった。
地域で顔見知りになり、挨拶や声掛けができるようになり、不審者など、地域で子供が犯罪に巻き込まれる件数が減少した。
治安がよくなった。防犯以外の地域活動も活発になった。など
取組み上の課題:資金の確保(現在はパトロール隊のリメイク作業とバザー)
※活動の詳細は別紙添付
20080714134707.jpg→「気負わず力まず無理をせず」長く続けよう
「パトロールにお金はいらない元気な体と心があれば」「人の子も我が家の子孫もみな同じ」
「オバパト隊 守るつもりが 守られる」など、のキP1020985.JPGャッチフレーズで、明るく元気に自主的に活動されている姿にただただ感動しました。
言われて始めた活動ではなく、子ども達を地域を守ろう、年齢を気にせず関わって役割を担っていこうとする「想い」が活動への理解や協力を得ているのだと思います。
北区でも各自治会などで結成された防犯パトロール隊が活発に活動されています。それに加えて、オバパト隊の取組み、例えば挨拶運動や公園などの見回り、隊員の構成、その他の勉強会や情報交換会など…が参考になればと思います。行政、警察などの積極的な連携についても学ぶところが多く感じました。


3.医療法人聖粒会 慈恵病院「こうのとりのゆりかご」
平成19年5月10日設置(医療法により市への届け出が必要)
1年間で17名のあかちゃんが「赤ちゃんポスト」に預けられる。
(男児13名・女児4名、新生児14名・1歳未満2名・幼児1名、名前や生年月日などの手紙が添えられていたケース6名、身元が確認されたケースは9名で関東・中部・中国地方が各2名・九州3名)
預けた理由の共通点に「経済的な困窮」がある。また、命・性に対する認識の低さ、低年齢化などが浮き彫りになっている。


<取組み>
・赤ちゃんポスト設置場所までの何箇所にも相談を促す、看板が設置されている。
・「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」として看護スタッフによる、24時
間の電話相談がボランティアで行われている。(1年間で501件)
P1020990.JPG・生(せい)に対する講演、教育活動を行っている。
・特別養子縁組(民間)のあっせん(希望のお問合せ244件)
→報道などでは、ただ育てられない子どもを預かる「場所」として赤ちゃんP1020991.JPGポストが紹介され、預けることを推奨しているように感じられたが、実際は相談業務の徹底的なケアが行われ、できれば預ける人がいないことを願いながらの「緊急避難場所」としてできたことが分かった。ひとつの病院のみに任せられる問題ではないと実感する。赤ちゃんポストを設置するか否かについては、賛否両論あるが、それ以前に生命の尊厳についての教育や児童相談所の周知、ボランティア団体と行政の相談窓口のネットワーク化、人材育成などが必要である。ドイツでは相談員の署名がないと、中絶できない。必然的に妊娠についてなど、相談する場面ができる。法的な整備も含め、大きな課題だと思う。

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